DJANGO / The Modern Jazz Quartet
室内楽的クラシック的なクールジャズが楽しめます
Django
バンド名は通称「MJQ」正式には「The Modern Jazz Quartet」です。
元々ピアノのジョン・ルイスとビブラフォンのミルト・ジャクソンとドラムのケニー・クラークはディジー・ガレスビーのビックバンドで一緒でした。
1951年、最初はミルト・ジャクソンをリーダーとした「ミルト・ジャクソン・カルテット」というバンドから始まりました。
そして1952年に「ザ・モダン・ジャズ・カルテット」と名前を変えて再出発します。
どちらも頭文字をとって「MJQ」ですね。
「ミルト・ジャクソン・カルテット」の頃はビバップ・ジャズ色のもっと強いバンドでした。ピアノのジョン・ルイスがリーダーシップを取るようになり「ザ・モダン・ジャズ・カルテット」と名前を変えてからはビバップ・ジャズにクラシック色の強い演奏も組み込まれるようになりました。
ジョン・ルイスはクラシック音楽の研究を熱心にしていたようです。そしてジャズの中にクラシックの要素を組み込むことをつねに思索していたようで、その思いが実現し開花したのがこのアルバムということになります。
1954年から1956年にかけて3回のレコーディングによってこのアルバムは完成します。MJQの集大成といえますね。
1曲目のDjangoは偉大なギタリストであるジャンゴ・ラインハルトへの追悼の思いからジョン・ルイスが作った曲です。
荘厳な中に美しい情景がにじみ出ている素敵な曲です。
2曲目のOne Bass Hitはベースのパーシー・ヒースをフィーチャした曲です。
ベースのオスカー・ペティフォードがディジー・ガレスビー楽団にいる時に作ったのではないかと思われますが、クレジットはガレスビーとペティフォードの共作となっています。ガレスビーが少しアドバイスしたんでしょうね。
縦横無尽に弾きまくるパーシー・ヒースのベースが堪能できます。
曲目のワン・ベース・ヒットは野球のシングル・ヒットにかけ合わせたシャレでしょうか。野球の方は英語で書くとOne Base Hitで微妙に一文字違いですね。
3曲目は La Ronde Suite(ロンド組曲)。
この曲は4楽章からなっています。まさにクラシック的な発想ですね。
まずピアノのジョン・ルイスをフィーチャーした第一楽章。
ジョン・ルイスはクラシックが好きだったかもしれませんがやはり根っからのジャズマンです、気持ちよくスイングしています。
そしてベースのパーシー・ヒースをフィーチャした第二楽章。
第一楽章から少しテンポも遅くなり落ち着いた見事なアドリブソロを聴かせてくれます。
しかしパーシー・ヒースのベースはよく歌っています、素晴らしい。
第三楽章はビブラフォンのミルト・ジャクソンのフィーチャです。
次から次からフレーズが流れるように飛び出してきます。ミルト・ジャクソンのバイブを聴くと何とも言えない楽しい気持ちになれます。
そしてクライマックスは第四楽章のケニー・クラークのドラムフィーチャです。
何とも豪快なドラムソロを聴かせてくれます。
ケニー・クラークはこの録音の後すぐに退団してパリに永住します。
このアルバムは全体にジャジーでブルージーな部分と18世紀ごろの宮廷音楽のようなクラシック音楽の部分が心地よく融合していて不思議な気持ちになれます。
7曲目のBut Not for Meのような聞き慣れたジャズのスタンダード曲でもジョン・ルイスの手にかかればクラシックの室内楽のようになります。しかしそこにミルト・ジャクソンのバイブが入ってくるといきなりジャジーになり、ほんの少しドラムソロを挟むだけでまさにビバップ・ジャズになります。魔法のようです。
まさにこのアルバムは元気の出る至極のジャズ名盤の一枚といえます。
曲目
1. Django
2. One Bass Hit
3. La Ronde Suite: A: Piano/B: Bass/C: Vibes/D: Drums
4. Queen's Fancy
5. Delaunay's Dilemma
6. Autumn in New York
7. But Not for Me
8. Milano
[ Recording
1953年 (track 4〜7)
1954年 (track 1.2.8)
1955年 (track 3)
Prestige Record]
演奏メンバー
John Lewis (Piano )
Milt Jackson (Vib)
Percy Heath (Bass)
Kenny Clarke (Drum)
最後まで読んでくださってありがとうございました!