"Horace Silver and spotlight on drums: Art Blakey - Sabu / Horace Silver Trio

ぴったり息のあったホーレス・シルバーとアート・ブレイキーの名演が聴けます


ホレス・シルヴァー・トリオ&アート・ブレイキー、サブー+4

ホーレス・シルバー(Piano)とアート・ブレイキー(Drum)は1952年から約4年の間とても親しく共演しました。

1954年にはビバップの歴史に残る名演「 A NIGHT AT BIRDLAND(バードランドの夜)」というアルバムを残しています。このアルバムにはクリフォード・ブラウン(Tp)も参加していています。ビバップの夜明けと言われジャズを語る上でもとても貴重なアルバムです。

また同1954年には2人でザ・ジャズ・メッセンジャーズを結成しました。

一応リーダーはアート・ブレイキーでしたが、実質的にはホーレス・シルバーとの双頭バンドでした。

ザ・ジャズ・メッセンジャーを結成してからは数々の名盤アルバムも残しています。

そして1956年にホーレス・シルバーはザ・ジャズ・メッセンジャーを脱退します。

理由は誰にもわかりませんがこの2人のジャズの巨人はケンカ別れしてしまいます。

ホーレス・シルバーがザ・ジャズ・メッセンジャーズを脱退するにあたり2つの不思議な条約を交わします。

それは

① "The Jazz Messengers"というバンドの名前はアート・ブレイキーが持って行く。

②バンドのメンバーはホーレス・シルバーが連れて行く。

というわけで、ザ・ジャズ・メッセンジャーを脱退した後はメンバーをそのまま引き連れて"ホーレス・シルバー・バンドとして活動を始めます。

一方、アート・ブレイキーは実態のない名前だけのバンドを立て直すべく悪戦苦闘し、しばらくは暗黒時代といわれる時を過ごすことになりますがその話はまた別の機会に。

 

このようなホーレス・シルバーとアート・ブレイキーの2人の関係を思いながら聴いた時にこのアルバムは非常に感慨深いものになります。

この2人がケンカ別れしないでずっと仲良くやっていたらどんな音楽が出来ていたのか聴いてみたかったなぁ、なんて。

 

このアルバムは2人が出会って間もない頃の作品です。まだザ・ジャズ・メッセンジャーズを結成する前です。

2人が楽しそうにプレイする様子が手に取るようにわかります。やっと分かり合える相棒と巡り合えてよほど嬉しかったんじゃないかな?なんて勝手に思ってしまうくらいご機嫌な2人です。

 

アルバムタイトルは" "Horace Silver and spotlight on drums: Art Blakey - Sabu / Horace Silver Trio"となっています。

”ホーレス・シルバーのリーダーアルバムですが、1番の注目はアート・ブレイキーのドラムとサブ(コンガ)ですよ!”

と何とも奇妙なタイトルです。

しかも12曲目のMessage From Kenyaではアート・ブレイキー(ドラム)とサブ(コンガ)が延々と(4分34秒!)打楽器だけの演奏をやっています。あまり聞こえませんがベースが参加しています。しかしホーレス・シルバー(ピアノ)は参加していません。

もっとすごいのは14曲目Nothing But The Soulではアート・ブレイキーの完全ドラム・ソロです。これも4分強の長さです。

どういういきさつでこうなったのかわかりませんがちょっとありえない選曲ですよね。

おそらくホーレス・シルバーもブルーノートの代表のアルフレッド・ライオンもそれだけアート・ブレイキーをリスペクトしていたということだと思います。

それは15曲目Buhainaがアート・ブレイキーイスラム教の戒名だということにも表われていると思います。

よく聴いていただければわかりますがほんとうにアート・ブレイキーは凄い!ドラムだけでこれだけ聴かせてくれる人はそうはいないと思います。

バディ・リッチも凄いけどこんなに暖かく包み込んでくれるドラムではないように思います。

 

と、このアルバムはホーレス・シルバーのリーダーアルバムなのにアート・ブレイキーばかりを絶賛してしまう奇妙なアルバムです。

 

といってもやはりホーレス・シルバーは素晴らしいです。

ピアノのプレイはもちろん素晴らしいし曲もご機嫌だしアレンジがこれまた最高です。

全12曲のうち9曲がホーレス・シルバーのオリジナルです(Track1.2.5.6.7.8.11.13.15)。

どの曲も素晴らしく心に残る名曲ですが私は特に1曲目のSafariと13曲目のOpus De Funkがお気に入りです。

Opus De Funkは アート・ペッパーの「Art Pepper + Eleven」というアルバムでも演奏していてとてもかっこいいです。そちらもぜひ聴いてみてください。 

 

このアルバムはまさに元気の出る至極のジャズ名盤です! 

 

購入サイトへ

 

曲目

1. Safari
2. Ecaroh
3. Prelude To A Kiss
4. Thou Swell
5. Quicksilver
6. Horoscope
7. Yeah
8. Knowledge Box
9. How About You
10. I Remember You
11. Silverware
12. Message From Kenya
13. Opus De Funk
14. Nothing But The Soul
15. Buhaina
16. Day In Day Out

 

[ Recording 1952 & 1953  Blue Note ]

 

演奏メンバー

Horace Silver (Piano)

Curly Russell (Bass)

Gene Ramey (Bass)

Percy Heath (Bass)
Sabu (Congas)
Art Blakey (Drums)

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。