Moanin’ / Art Blakey & The Jazz Messengers

 

そば屋の出前持ちが口ずさんだといわれるくらい大ヒットしたアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの「モーニン」です


モーニン

 

1956年にピアニストのホーレス・シルバーがメンバーを引き連れてバンドを脱退して以来メッセンジャーズは暗黒時代といわれる迷走の時代を迎えます。

 

ホーレス・シルバーがメンバーを引き連れてバンドを脱退した話の記事はこちらにありますのでぜひ見てみてください

jazzblog.hatenablog.jp

 

暗黒時代といわれた時代でのメンバーはビル・ハードマン(Tp)、ジャッキー・マクリーン(A.Sax)、ジョニー・グリフィン(T.Sax)、サム・ドッケンリー(Piano)、スパンキー・デブレスト(Bass)といういぶし銀のメンバーでしたがなかなか人気が出るまでには至りませんでした。

 

たまたまバンドに参加したテナー・サックスのベニー・ゴルソンアート・ブレイキーが意気投合します。そしてアート・ブレイキーベニー・ゴルソンに今後のバンドの全てを任せることにしました。

そして音楽監督ベニー・ゴルソンを迎えた新生「アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」が誕生することになります。

ベニー・ゴルソンはまずメンバーを総入れ替えしました。

トランペットにリー・モーガン、ピアノにボビー・ティモンズ、ベースにジーミー・メリットです。

トランペットのリー・モーガンはすでにディジー・ガレスビー楽団の花形トランペッターとして有名でしたがあとのボビー・ティモンズジーミー・メリットはほぼ無名でした。

 

メンバーも揃い曲も新しく作り、満を持して新生アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズは活動を開始します。

まずニューヨークでコンサートをやり、そしてアルバムを録音しました。

そのアルバムがこの「モーニン」です。

 

録音してすぐメッセンジャーズはヨーロッパツアーに出ます。

アルバム「モーニン」はヨーロッパツアーから帰ってからの発売という段取りになっていました。

ヨーロッパツアーは大盛況でどこに行っても大歓迎されコンサートは大熱狂しました。その様子の一部は「サンジェルマンのジャズ・メッセンジャーズ」というライブアルバムに収録されました。

 

アート・ブレイキーはこのヨーロッパでの大歓迎に驚いたそうです。

アメリカ本国では黒人のジャズマンはアーティストではなく芸人扱いされていました。アーティストとして手厚く歓迎してくれたヨーロッパ、特にフランスのファンに涙したそうです。

 

ヨーロッパで大歓迎されたニュースを聞いた本国アメリカではその反響に驚きアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズとそしてジャズそのものを再評価する動きが拡がりました。ジャズの逆輸入ですね。

その流れに乗ってかちょうどヨーロッパ・ツアーから帰ってきて発売されたこのアルバム「モーニン」は爆発的に大ヒットしました。

そして日本でもこのアルバムはやはり爆発的に大ヒットし、日本中がファンキー・ブームという不思議な流行に至ります。

「モーニン」を蕎麦屋の出前持ちが口ずさんだといわれるくらいにメッセンジャーズは日本中のブームになりました。

 

1曲目は”Warm-Up And Dialogue Between Lee And Rudy”となっていますが録音する前にトランペットのリー・モーガンと録音エンジニアのルディー・バンゲルダーとの会話が挿入されています。アナログのLPレコードにはなかった部分だと思います。

 

2曲目の「Moanin’」はアルバムのタイトルにもなっている曲ですね。

Moanin’とは "うめき"とか "苦痛"という意味で、人種差別に苦しむ黒人たちの嘆きやうめきを意味しています。ピアノのボビー・ティモンズの作曲です。

 

3曲目のAre You Real?と4曲目のAlong Came Bettyはいまではジャズのスタンダードとなっています。サックスであり音楽監督でもあるベニー・ゴルソンの作曲です。

 

そして圧巻はなんといっても5曲目の The Drum Thunder Suiteです。

The Drum Suite(ドラム組曲)ではなくThe Drum Thunder Suite(雷鳴ドラム組曲)というところが凄い!

雷のような凄まじいドラムの組曲ということですね!

この曲もベニー・ゴルソンの作曲&アレンジです。

ドラムのアート・ブレイキーを知り尽くしているからこそ出来る作曲&アレンジですね。

ぜひ聴いてみてください!

 

このアルバムは間違いなく最高に元気の出るジャズ名盤の一枚です。

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曲目
1. Warm-Up And Dialogue Between Lee And Rudy
2. Moanin’
3. Are You Real?
4. Along Came Betty
5. The Drum Thunder Suite
7. Come Rain Or Come Shine
8. Moanin’ (Alternate Take)

 

[ Recording  1958年 Blue Note ]

 

演奏メンバ

Lee Morgan (Trumpet)

Benny Golson (T.Sax)
Bobby Timmons (Piano)

Jymie Merritt (Bass)

Art Blakey (Drum)

 

最後まで読んでいただいてありがとうございました!

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