Ray Bryant Trio / Ray Bryant
ブルージーでしかもキラキラとした明るいピアノタッチのレイ・ブライアントのプレイが最高です!
母親が教会ピアニストだった影響から若い頃からピアノに慣れ親しんでいたレイ・ブライアントは、20歳になる前にすでにジャズの巨匠たちと共演していました。
カーメン・マクレエの伴奏者だったことは有名ですね。
そして数多くのリーダー・アルバムも発表し、またサイドマンとして録音に参加したアルバムも多数あります。
しかし超人気ピアニストというわけでは無かった彼がある日を境にスター・ピアニストとしての地位を得ることになります。
レイ・ブライアントが超人気者ピアニストの仲間入りをしたのは1972年のモントルー・ジャズフェスティバルがきっかけでした。
元々は速弾きピアニストのオスカー・ピータンが出演する予定だったのが急にキャンセルになり、その代役としてステージに上がったのがこのレイ・ブライアントでした。
オスカー・ピーターソンの代役とは緊張したでしょうね。
しかしレイ・ブライアントはこのステージで大熱演。観客も大盛り上がり。ステージは大成功。このフェスティバルを機に彼は一躍スター・ピアニストとしての地位を確立しました。彼が41歳の時です。
このフェスティバルでの録音が「ALONE AT MONTREUX」というアルバムに残っていますので興味のある方はぜひ聞いてみてください。
今回紹介するアルバムはそんなレイ・ブライアントの26歳の時のアルバムです。早いデビューでしたからもうすでに名前は知られていました。
私はずっとこのアルバムのタイトルは「Golden Earrings」だと思っていました。1曲目の曲名です。
それくらいこの「ゴールデン・イヤリングス」の演奏は素晴らしく、このアルバムの全体のイメージが私の中で「ゴールデン・イヤリングス」となっていたんですね。
あとで冷静に聴いてみると他のどの曲もそれに劣らず素晴らしいとわかりましたけど。
改めて、今回ご紹介するアルバムのタイトルは「レイ・ブライアント・トリオ」です。
1曲目のGolden Earringsは同名の映画の主題歌としてビクター・ベイリーが作曲した曲です。ジプシー(ロマ)音楽を基調としたエキゾチックな曲で、サラサーテ作曲の「ツィゴイネルワイゼン」をモチーフにしてつくられた曲です。
ボーカル物で1番有名なのは 「Golden Earrings /ペギー・リー」で、演奏物で1番有名なのはこの「レイ・ブライアント・トリオ」と言われています。誰もが認める歴史に残る名演です。
2曲目のAngel Eyesはマット・デニスが作曲したこれもエキゾチックな曲です。
レイ・ブライアントはこの曲をピアノソロで綺麗に仕上げています。メロディーはエキゾチックですがキラキラとしたした晴れた日の青空のような明るいソロを聴かせてくれます。
マット・デニスのオリジナルが聴けるアルバムはこちらです。興味があればぜひ聴いてみてください
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3曲目のBlues Changesはレイ・ブライアントのオリジナル曲です。最初はバラードで始まりアップテンポになりそして最後はまたバラードになって終わります。この曲もレイ・ブライアントのキラキラしたピアノタッチのプレイを聴くことができます。
4曲目のSplittin’もレイ・ブライアントのオリジナル曲で軽快なアップテンポの曲です。随所に出てくるスぺックス・ライトのドラムソロがキレキレで、なんと心地よいブラシワークでしょう!惚れ惚れしてしまいます。
5曲目のDjangoはピアニストのジョン・ルイスがギターの神様ジャンゴ・ラインハルトを追悼して作った曲です。
この曲はThe Modern Jazz Quartet / DJANGOというアルバムで聴けます。興味があればぜひ聴いてみてください。
このアルバムでレイ・ブライアントはオリジナルの演奏とほぼ同じアレンジで奇をてらうことなくプレイしています。迷いのない素晴らしい演奏ですね。
6曲目のThrill Is Goneはレイ・ヘンダーソンが作曲したバラードです。B・B・キングで有名な同名の曲とは違う曲ですのでお間違えになりませんよう。
レイ・ヘンダーソンはバイバイ・ブラックバードなど数々の映画音楽やジャズスタンダードを作った作曲家です。
レイ・ブライアントはこの曲「スリル イズ ゴーン」をブルージーで哀愁たっぷりに演奏しています。間の取り方が絶妙で聴き手を引き込みます。素晴らしい!
7曲目のDaahoudはトランペットのクリフォード・ブラウンが作曲したジャズのスタンダード曲です。「Clifford Brown & Max Roch/Clifford Brown & Max Roch」というアルバムで聴くことができます。
この曲ではアイク・アイザックスの歌心溢れるベースラインがレイ・ブライアントのピアノをご機嫌にサポートしています。ちなみにベースのアイク・アイザックスはカーメン・マクレエの元ご主人です。
8曲目のSonarはドラムのケニー・クラークの作曲した曲です。
→この曲のレイ・ブライアントのバップピアノが大好きです。バックを固めるベースとドラムの堅実にピアノに寄り添うリズムがまた心地いいです。
このアルバムはまさに元気がでる珠玉のジャズ名盤です。ぜひ聴いてみてください!
曲目
1. Golden Earrings
2. Angel Eyes
3. Blues Changes
4. Splittin’
5. Django
6. Thrill Is Gone
7. Daahoud
8.Sonar
[ Recording 1957年 Prestige ]
Ray Bryant (p)
Ike Isaacs (b)
Specs Wright (ds)
最後まで読んでいただきありがとうございました!