Ready for Freddie / Freddie Hubbard

ザ・ジャズ・メッセンジャーズとコルトレーン・バンドの両方のテイストを合わせもった、フレディ・ハバードのリーダーアルバム


Ready for Freddie

アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズに在籍中のフレディ・ハバード(トランペット)のリーダーアルバムです。

当時同じジャズ・メッセンジャーズに在籍していた朋友ウェイン・ショーター(テナー・サックス)がフューチャーされたアルバムになっています。

他のメンバーはというとピアノにマッコイ・タイナー、そしてドラムにエルビン・ジョーンズ。この2人は当時のまさにジョン・コルトレーン(テナー・サックス)のバンドの黄金のリズム隊ですね。

そしてリチャード・デイビスもコルトレーンとの共演歴の多い、コルトレーンとかなり近しいベーシストです。

つまりこのアルバムは「アート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」のテイストと「ジョン・コルトレーン・バンド」のテイストを合わせもったアルバムということになりますね。

そう思って聴くと確かに確かにとうなずける場面が多々あり、興味深いアルバムといえます。

そして演奏メンバーにもう1人バーナード・マッキニー(ユーフォニウム)が参加しているのも興味深いです。

バーナード・マッキニーはソニー・ステット(アルト・サックス)やドナルド・バード(トランペット)、ペッパー・アダムス(バリトン・サックス)などと共演しているユーフォニウムの大家です。

"ユーフォニウム"という楽器はジャズファンにはあまり馴染みのない楽器かもしれませんね。トロンボーンとよく似た音色の楽器ですが、トロンボーンより少し丸みがあり暖かい音がするのが特色です。蛇足ですがこの"ユーフォニウム"という名前はギリシャ語の“euphonos”(eu=良い、phone=響き)に由来するそうです。

 

 

1曲目のArietis(アリエティス)はフレディ・ハバードのオリジナル曲。

彼の生まれた日(1938年4月7日)の星座「牡羊座Aries」に由来するそうです。

フレディ自身へのインタビューで本人は「この星座の人は開拓者向きだそうだ。僕に当てはまるかはわからないけどね。他にも性質が変わりやすくて好奇心が強いらしいよ」だそうです。

曲がカッコいいし、フレディ・ハバード→ウェイン・ショーター→バーナード・マッキニー→マッコイ・タイナーと続くアドリブソロがまた素晴らしいです。

 

2曲目のWeaver Of Dreams(ウィーヴァー・オバ・ドリーム)はジャズ・スタンダードのバラードです。

フレディ・ハバードのトランペットも素晴らしいけれど、なんと言ってもエルビン・ジョーンズのブラシが冴えわたっていて素晴らしい。

 

3曲目のMarie Antoinette(マリー・アントワネット)はウェイン・ショーターのオリジナルです。

レコードのライナーノートでジャズ評論家のナット・ヘントフは「"マリー・アントワネット"の題名は、曲の流れが断頭台の露と消える前の貴族たちの屈託の無いくつろいだ時間の感じを示していることに由来している」と解説しています。

ウェイン・ショーターらしい物語性のある印象的な曲です。

1番手にソロを取るウェイン・ショーターのアドリブが相変わらずぶっ飛んでいて素晴らしいですが、この曲のリチャード・デイビスのベースソロもまた超カッコよく秀逸です。

 

4曲目のBirdlike(バードライク)はフレディ・ハバードのオリジナル曲。

言うまでもなく、Bird(チャーリー・パーカー)への賛辞の曲です。いかにもチャーリー・パーカーが作りそうなリフのブルースです。

アップテンポのこの曲ではフレディ・ハバード→ウェイン・ショーター→バーナード・マッキニー→マッコイ・タイナー→リチャード・デイビスと白熱のアドリブ演奏を聴かせてくれます。

 

5曲目のCrisis(クライシス)もフレディ・ハバードのオリジナルです。

レコードのライナーノートでナット・ヘントフは「"クライシス"が生まれたのは、核兵器の影が大きくなる状況の下、私たちの生命がさらされる渦巻くような緊張感を音楽で表現したいというフレディの欲求からだった」と書いています。

この曲は、このアルバムと同じ1961年に録音されたアート・ブレイキー & ザ・ジャズ・メッセンジャーズの「モザイク」と言うアルバムでも取り上げられてられています。メッセンジャーズの"クライシス"と聴き比べてみるのも面白いです。

ここではエルビン・ジョーンズのドラムソロが超カッコいいです。

 

ぜひ聴いてみてください。

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曲目リスト
1. Arietis
2. Weaver Of Dreams
3. Marie Antoinette
4. Birdlike
5. Crisis
6. Arietis (別テイク)
7. Marie Antoinette Alt. Take(別テイク)

 

[Recording 1961 Blue Note]

 

演奏メンバー

Freddie Hubbard (Tumpet)
Bernard McKinney (Euphonium)
Wayne Shorter(T.sax)
McCoy Tyner (Piano)
Art Davis (Bass)
Elvin Jones (Drum)

 

このアルバムはまさに元気の出る究極のジャズ名盤といえます。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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