Blue Train / John Coltrane
ジャズの巨人ジョン・コルトレーンが唯一ブルーノートから出した渾身のアルバムです
ジョン・コルトレーンは長い下積み時代を乗り越え、やっと認められてマイルス・デイビスのバンドに加入します。しかし麻薬と酒に溺れてしまったコルトレーンはマイルスのバンドを退団(クビ)になってしまいます。
コルトレーンはその後セロニアス・モンクのバンドに加入します。モンクのバンドに加入したことがその後のコルトレーンの人生を大きく変えることになります。
モンクから徹底的に音楽理論を教わり、プレイも飛躍的に上達します。
モンクは演奏の途中で急にフラッといなくなることが常だったそうで、そうするベースとドラムとサックスというピアノレスのバンドになってしまいます。コルトレーンにとってコード楽器なしの演奏を延々しなければならなかった事が相当ないい経験になったようです。
また、麻薬と酒の悪癖を断ち切りクリーンな人生を歩むようになります。
それまでの麻薬と酒漬けだった人生を取り戻す為にと必死に練習したようです。
そしてコルトレーンは華麗なる復活を遂げます。
そしてそのタイミングでこのアルバム「Blue Train」が録音されました。
Blue Note Recordsというレーベルはマイナーレーベルです。しかし良いアルバムを作ろうという熱い熱い思いがある素晴らしいレーベルです。
ブルーノートはアルバムのレコーディングの為のリハーサルをじっくりやります。そしてそのリハーサルにもミュージシャンにギャラを支払います。今ではリハーサルをしっかりやるというのは当たり前です。しかし当時他のレーベルでは当日スタジオに集まってぶっつけでレコーディング本番のいうのは当たり前だったようです。やっつけ仕事ですよね。
ま、ある意味ではジャズにはそんな環境が逆に良かったということももしかしたら言えるかもしれません。一発勝負の集中力が新鮮で神がかった音を創り出したのかもしれません。そんなアルバムが後世に名盤として残っているのですから。
話は戻ってブルーノートのこのアルバムの為にコルトレーンはI'm Old Fashioned以外の全4曲を作曲しました。
ブルーノートがリハーサルをしっかりとしてくれるレーベルだったからこそ成り立ったレコーディングでした。リハーサルなしでは不可能だったかもしれません。
そこにはブルーノートのアルフレッド・ライオンとジョン・コルトレーンとの深い絆もあったようです。
コルトレーンの演奏はどの曲も素晴らしいです。堂々とした迷いのない演奏は最高です。
サイドメンも最高の演奏を残しています。
トロンボーンのカーティス・フラー、トランペットのリー・モーガン、ピアノのケニー・ドリュー、ベースのポール・チェンバース、ドラムのフィリー・ジョー・ジョーンズ。
みんな素晴らしい文句のつけようのない演奏です。
ちなみにこのアルバムの後コルトレーンはモンクのバンドを退団しマイルスのバンド復帰します。
この一枚はコルトレーンの人生の大切な過渡期に作られた歴史の証明的なアルバムといってもいいかもしれません。
間違いなくこのアルバム元気の出る至極のジャズ名盤といえます。
曲目
1. Blue Train
2. Moment's Notice
3. Locomotion
4. I'm Old Fashioned
5. Lazy Bird
6 Blue Train (別テイク)
7 Lazy Bird (別テイク)
[ Recording 1957 Blue Note ]
演奏メンバー
John Coltrane (T.Sax)
Lee Morgan (Trumpet)
Curtis Fuller (Trombone)
Kenny Drew (Piano)
Paul Chambers(Bass)
Philly Joe Jones(Drum)
最後まで読んでいただいてありがとうございます。