Supertrios / McCoy Tyner 

超激しい2つのスーパートリオが満喫できる贅沢なマッコイ・タイナーのアルバムです


Supertrios

 

マッコイ・タイナーは言わずも知れたジョン・コルトレーン・バンドの黄金トリオのピアニストです。ドラムのエルビン・ジョーンズとベースのジミー・ギャリソンと共にコルトレーンの黄金時代を支えました。

コルトレーンのバンドには21歳になる1960年から5年の間在籍し、「至上の愛」や「アセンション」など数々の名盤に参加しています。

 

1965年に音楽性の違いからコルトレーンのバンドを退団してからは自分のリーダーアルバムも多数発表し、精力的に活動します。1967年に発表した「ザ・リアル・マッコイ」は有名ですね。

 

このアルバム「スーパートリオズ」は1977年のマッコイ・タイナーが38歳の時のアルバムですのでかなり成熟したタイナーのピアノが聴けます。

成熟したといっても若い頃のパワフルさは少しも衰えず、力強いピアノタッチも健在というか益々磨きがかかったといえるかもしれませんね。

 

題名にSupertriosと複数形の"S"がついています。これはスーパートリオ達という意味ですがこのアルバムには2つのスーパートリオが出てきます。

1つは

マッコイ・タイナー(ピアノ)

ロン・カーター(ベース)

トニー・ウィリアムス(ドラム)

です。

ロン・カータートニー・ウィリアムスは60年代のマイルス・デイビス・バンドを支えた強力なリズム隊です。2人にとってこのアルバムが録音された1977年頃はハンク・ジョーンズ(Piano)とのグレート・ジャズ・トリオや、フレディ・ハーバード(Tp)やハービー・ハンコック(Piano)らと結成したV.S.O.Pクインテットなどで大活躍だった時期です。そんな大忙しの寸暇を割いての録音だったんですね。

 

もう一つのトリオは

マッコイ・タイナー(ピアノ)

エディ・ゴメス (ベース)

ジャック・ディジヨネット(ドラム)

のトリオです。

ベースのエディ・ゴメスはこの録音の1977年頃は10年間いたビル・エバンス・トリオを脱退した頃になりますね。1980年代以降はドラムのスティーブ・ガッドに誘われててチック・コリアのバンドに加入しその後ステップス・ア・ヘッドなどフュージョン系の世界で大活躍します。

ジャック・ディジョネットは1968年にトニー・ウイリアムスの後がまとしてマイルス・デイビスのバンドに加入しマイルス・デイビスのエレクトリック・サウンドに貢献します。このアルバムを録音した1977年頃は、ギターのジョン・アバークロンビーとベースのデイブ・ホーランドとのギタートリオ "Getway"を結成し活躍していた頃です。この後ジャック・ディジョネットキース・ジャレットのスタンダード・トリオの一員として活躍することになります。

 

このアルバム"Supertrios "はアナログLP版では2枚組として発売されました。

1枚目がマッコイ・タイナー(ピアノ)、ロン・カーター (ベース)、トニー・ウィリアムス(ドラム)のトリオです。

そして2枚目がマッコイ・タイナー(ピアノ)、エディ・ゴメス (ベース)、ジャック・ディジヨネット(ドラム)のトリオです。

 

CDでは1曲目から6曲目がマッコイ・タイナー(ピアノ)、ロン・カーター (ベース)、トニー・ウィリアムス(ドラム)のトリオで、7曲目から12曲目が マッコイ・タイナー(ピアノ)、エディ・ゴメス (ベース)、ジャック・ディジヨネット(ドラム)のトリオになります。

 

おそらく発売当時、2枚組でジャズのレコードを発売することはかなり異例のことだったのではないでしょうか。そでだけマッコイ・タイナーがレコード会社から一目おかれていたということですね。

 

ロン・カーター (ベース)、トニー・ウィリアムス(ドラム)とのトリオの1曲目Wave(波)。カルロス・ジョビンが作った美しく軽快なボサノバですが、この3人の手にかかるとこんなにも激しく荒々しいWAVE(波)になってしまいます、凄い!

そして3曲目の I Mean Youはピアノとドラムとのデュオです。マッコイ・タイナーとトニー・ウイリアムスの2人の壮絶なバトルが聴けます。もちろんバトルといっても戦いではありません。何だか高尚な会話のようにも聴こえます。子供に帰った2人のやんちゃな楽しい遊びのようにも聴こえます。楽しそう!

そして何といっても圧巻は6曲目の Moment's Noticeでしょう。このジョン・コルトレーンの難解な曲をこの3人はスラスラと料理していきます。まさに天才トリオです、素晴らしい!

 

7曲目からのエディ・ゴメス とジャック・ディジヨネットとのトリオも凄いです。

1番のオススメはやはり10曲目のStella By Starlightでしょうか。

静かにピアノのソロから始まりそしてベースのパターンが入ってきます。その合間を縫ってドラムが飾ります。美しいテーマが始まると3人は優しく優しく包み込むように演奏します。大切な宝物のように。どんなにプログレッシブになってもどんなに激しく展開していっても曲を大切に大切にします。当たり前ですがこの美しい曲をぶち壊したりしません。何と素晴らしい演奏でしょうか。最後はまたベースのパターンへと戻って静かに終わります。

ぜひ聴いてみてください。

 

まさにこのアルバムは元気のでる極上のジャズの名盤といえるでしょう!

 

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曲目

1. Wave

2. Blues On The Corner

3. I Mean You

4. The Greeting

5. Prelude To A Kiss

6. Moment's Notice

7. Hymn-Song

8. Consensus

9. Four By Five

10. Stella By Starlight

11. Lush Life

12. Blues For Ball

 

[ Recording 1977 Milestones Record ]

 

演奏メンバー

McCoy Tyner (Piano)

Ron Carter (Bass) (track1〜6)

Eddie Gomez (Bass) (track1〜6)

Tony Williams (Drum) (track7〜12)

Jack DeJohnette (Drum) (track7〜12)

最後まで読んでいただきありがとうございました。